2003

IRONY SPACEアーキテクトファイブ

建築が多かれ少なかれ建主との妥協で成り立つものであるとすれば、自らが建主となり得た場合は一切の妥協が不要となる。夏の暑さ、冬の寒さ、結露は、ヒートブリッジはと誰もが心配するが、私にはそれ以上に鉄で空間をつくりたい欲求が勝っていた。コンクリートは打ち放しによって素材の持つ力を引出す手法は確立しているが、鉄の場合は未開発だ。建築に必要な要素は床と壁で、梁や柱は重力や地震から建物を支えるための骨格であり、鉄が骨格としてのみ用いられるならばIrony Spaceは生まれない。どうしても鉄で面の部材をつくり出すことが必要となる。今まで軽量ボックスのリブを用い、折版を両面からサンドイッチしたサンドイッチ折版構造は屋根、床の面の構造として多くの実績があり、最近ではウィンザーホテル洞爺チャペルで初めて壁としても用いられた。この構造を一歩進めて、折版をリブの替わりに鉄板でサンドイッチした段ボールのようなサンドイッチ折版プレート構造を考案した。この建物の地上部分の構造は屋根、床、壁全てがサンドイッチ折版プレート構造のみによりつくられ、35枚にパネル分割され、全面防水溶接で組み立てられている。今後1年かけて室内環境および居住性に関するデータが採取されることになる。データはいずれ公開し、次のステップの役に立てたらと考えている。

  • 所在地東京都世田谷区成城2-10-13
  • 施主株式会社梅沢建築構造研究所
  • 建築設計アーキテクトファイブ
  • 構造設計梅沢建築構造研究所
  • 主要用途構造設計事務所
  • 構造S造、一部RC造
  • 規模地下1階、地上2階
  • 基礎直接基礎
  • 敷地面積130.78m²
  • 建築面積77.69m²
  • 延床面積197.87m²
  • 竣工2003年4月
  • 掲載建築文化 03年5月号 他

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